発行日:2023年3月3日
定価:1,000円(税込)
● メゾン・エ・オブジェ パリ
メゾン・エ・オブジェから我々は何を学び、どのように消費を活性化していくべきか?
● 東京インターナショナル・ギフト・ショー 大盛況裏に終了
● 2023年の生活雑貨店に求められるもの
オムニチャネルなどによるリアル店舗の復権が鍵
● アートによる雑貨市場の活性化 身近な存在にすることで、売り場も広がる
「メゾン・エ・オブジェ・パリ(Maison&ObjetParis)2023年1月展」(メゾン・エ・オブジェ)が1月19日から1月23日の5日間、フランス・パリのノールヴィルパント見本市会場(パリ・ノール会場)にて開催された。
メゾン・エ・オブジェはインテリア業界の「パリコレ」とも呼称される、華やかさとトレンド発信力を備えた見本市。メゾン(家)に関連する生活者・消費者の生活空間を彩るアイテム、Objet(装飾品)が集結する。
特にコロナ禍以前は、ギフト・ショー同様に出展希望者が多く出展スペース確保が難しいことでも有名だった。出展実績そのものがブランド力を高めるとも言われているのもギフト・ショーとの共通項と言えるだろう。
メゾン・エ・オブジェの全貌をレポートする。
我が国最大、世界屈指のパーソナルギフトと生活雑貨の国際見本市、第95回東京インターナショナル・ギフト・ショー春2023が開催、2774社が出展、3日間トータルで約23万人の来場者を集めた。
世界に冠たる「ギフト・ショー」は大盛況に終了。その存在感を確かに示し、見本市として大きな役割を果たしたと言えるだろう。
日本最大のパーソナルギフトと生活雑貨の国際見本市「第95回東京インターナショナル・ギフト・ショー春2023」(ギフト・ショー)、暮らし方から住まいをデザインするリノベーションのための見本市「第13回LIFE×DESIGN春2023」、地域のプレミアムフードが集まる、品質・ライフスタイル志向の食の見本市「第33回グルメ&ダイニングスタイルショー春2023」(GDS)、トータルインテリアの国際見本市「LIVING&DESIGN2023」は、2023年2月15日(水)から17日(金)まで、東京ビッグサイト東展示棟東1ホールから7ホールを使用し開催された。
総出展社数は2774社(同時開催展、海外15の国と地域からの302社含む)。前回の秋のギフト・ショーと比較して出展社は約40%増加。3日間の来場者は22万9968人(昨秋対比119・6%)と大盛況となった。
コロナ禍による影響がノーマル化して、それに伴って猫も杓子も飛びついたECの伸長も一段落。大手企業の先端的な店舗から、ごくごく普通のパパママショップまで、生き残りのためには時代に即した売り方の改革が求められている。言葉を変えれば“リアル店舗のあり方”が今一度問われている時代だ。
手法としては、オムニチャネル、OMO、D2Cのようにデジタルによる流通の効率化や機能性のアップが図れるようにするものや、店舗演出や接客などのサービスの向上による顧客満足度を高める、アナログかもしれないが昔からある質の向上を狙うもの。この2つの方向性が考えられるが、どこの企業も多かれ少なかれそれらを合わせた、ハイブリットによる売り場の活性化を図っている。
今月号では、リアル店舗で“価値ある空間”を作る通販のフェリシモ、OMOでリアル店舗における顧客接点の強化を図る千趣会、エリア全体でキャラクターの世界を最大限に演出し集客に抜群の効果を発揮したハリー・ポッターの店舗の例から、「2023年生活雑貨店に求められるもの」を探った。
日本最大級のアート見本市であるアートフェア東京と文化芸術・産業政策のコンサルティングを行う「一般社団法人芸術と創造」は、「日本のアート産業に関する市場調査」として2016年より、日本の美術品の購入動向について調査し、アート市場の規模や傾向などを分析し、発表・報告してきた。
それによると、2021年の日本全体の美術品市場規模は推計2,186億円。コロナの影響が最も大きかった2020年と比較すると、2021年の美術品市場は回復したものの、2019年比では減少(15%減)しているという。
世界の美術品市場における割合を推計すると、2020年の世界の市場規模(5.2兆円)に対して日本(国内事業者の市場規模・1,929億円)は3.7%と推計され、為替変動の影響もあり2019年の3.2%から上昇しているという。
いずれにせよ経済規模に比して世界のアート市場に閉める割合は大変に低いわけだが、その理由として、これまで文化的、社会的にアートを大切にしてこなかった、そして我々の生活のおいてアートが一般的ではなかったことがよく指摘される。アートとは高尚な趣味であり、画廊、百貨店外商部、オークションなどの流通も馴染みやすいとは言い難かった。
しかし、昨今、アート市場における異業者が色々な角度からこの市場を捉えることで、より身近な存在となり、それに伴って“買える場所”も広がりつつある。その新たな市場にはギフト、生活雑貨の売り場も含まれる。
今回は大丸松坂屋のARToVILLAと戸田建設の本社ビルにその例をみてみよう。それぞれの企業特有の事情があるにせよ、アート市場のポピュラー化に寄与しそうなプロジェクトとして注目したい。